
(写真)八芳園のみごとな紅葉。都心でこんな風景が、おいしい紅茶とともに楽しめるのだった。
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ボエムを出た後、松岡美術館、庭園美術館(旧・朝香宮邸)、自然教育園と、美しい街並みを廻って行く。幾多の邸宅・高級マンションの前を通り過ぎる。道行く車の半数は外車である。瑞聖寺の参道では、
エンツォ・フェラーリ(推定時価1億3000万円)を手洗い洗車している男がおった。
「こんな街に住めるなんて、我々のご主人様は大金持ちなんですか?」
「ただの会社員ぢゃい。まぁビンボーではないが、特別金持ちでもない。
べつに億万長者じゃなくても住めるぞい。見ぃ、100円ショップだってある」
「ホントですね。そういえば、この辺りは、わりと庶民的な街並みですね」
「白金の魅力は、
清濁あわせ呑むふところの広さ。さもなくば、主人のごとき変人オタクが違和感なく暮らせるわけもなし」
「なるほど、ではこの辺りは、清濁の“濁”の方なんですね」
「そうそう。見ぃ、あんなアバラ家まであるぞい!」
「なるほど、アバラ家ですね!」
「うるせえ、このヤロー!!!」
アバラ家の主人とおぼしき男が、金属バット片手に飛び出してきた。まろとデンキは、とっさに死んだふりをした。
「んん〜、たしかに今、無礼千万な会話が聞こえたんだが・・・・・・このぬいぐるみどもが、喋るわけないしな」
男がボリボリ頭をかきながらアバラ家の中に引っ込むと、まろとデンキは大きく息をついた。
「危ないところであった」
「白金とはいえ、ブッソーな世の中です。気をつけましょう」
まろたちの散歩のしめくくりは
八芳園であった。丹念に手入れされた広大な日本庭園は、誰でもタダで入れる。ぬいぐるみでも入れる。夕陽を浴び、一面極彩色に輝き渡る紅葉の海を見下ろすバルコニーで、まろとデンキはゆったりと紅茶をたしなんだ(主人のカードで)。
夜、主人ファミリーが帰宅してきた。ぼんずどもがデンキを奪い合う。
「コラコラ、お兄ちゃんはマンハッタンにしなさい」
「やだーっ! ボク、デンキがいい!」
「だぁだぁ」
「やはり名前はガブリエルに・・・」
「マンハッタン、デンキと比べるとホコリっぽいわねぇ。
また洗濯機で洗おうかしら」
・・・・・・まろはやはり、不愉快である。
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